任意売却の条件
任意売却をしたいといっても、無条件にできるわけではありません。そこで、どのような状況の
時に、任意売却をすることができるのかを8つの条件を知っておきましょう。

1、共有者の同意がある事。
親子または夫婦名義で不動産を所有している場合など共同で所有している場合、どちらか一人が
任意売却を希望してもどちらか一人が拒否してしまうと売却することはできません。
任意売却するためには共有者の同意を得ることは重要な条件です。
離婚などで連絡に応じてくれなく、コミュニケーションが取りにくいなど共有者の同意を得るこ
とができないケースもありますので、共有者で事前に話し合う必要があるでしょう。
2、担保権者全員の同意がある事。
金融機関から住宅ローンを借入れる場合、購入する不動産
に対して、返済が困難になったときに備えて、対象の不動
産に抵当権を設定します。

抵当権は1つの不動産に1つだけという決まりはなく、複数
の抵当権を設定することができます。
その為、住宅ローン以外でお金を借り入れるときにも抵当
権を設定し、複数の抵当権がある場合には
そのすべての同意を得る必要があります。
3、返済の滞納と期限の利益の喪失。
任意売却をするためには、返済を滞納し「期限の利益の喪失」が条件の一つになります。
住宅ローンの返済を滞納してしまうとさまざまな書類が送られてきて、支払いを促されることに
なるでしょう。返済の滞納が続き、合計で滞納が6ヶ月続いてしまうと金融機関から「期限の利益
の喪失」に関する予告書や通知書が届きます。
期限の利益とは、約束した返済日までに返済すればいいという権利のもので、これが喪失すると
いうことは、すぐにお金を一括返済しなければなりません。

4、連帯保証人の同意がある事。
金融機関から住宅ローンを組む場合、借り入れの条件として連帯保証人を求められるケースが多
くあります。連帯保証人は、債務者と連帯して債務を負担し、住宅ローンの返済が滞納したとき
には返済義務が発生します。
その為、任意売却したいのであれば、連帯保証人の承諾を得ることを条件にする金融機関は多い
でしょう。連帯保証人の同意があることも任意売却するための必須条件です。

5、妥当な売却価格 市場価値のある物件である。
任意売却まで時間があり、差押えられていない物件であっても市場価値がない物件と判断される
と任意売却を認めてもらえないことがあります。
市場価値がない物件は任意売却をしたとしても買い手が付かない可能性があります。買い手が付
かなければ債権を回収することはできませんので、任意売却が認められないということです。
任意売却をするためには市場価値があり、買い手が付く物件であるという条件が必須でしょう。
任意売却では、その売却価格が市場価格と比べて妥当でなければいけません。この点、担保権者
全員の同意があれば不当に低い価格でもよさそうですが、それではいけません。なぜダメなので
しょうか?
例えば、住宅ローンに連帯保証人がついていたとします。連帯保証人は任意売却後に残った住宅
ローンの支払義務を負い続けます。
つまり、連帯保証人にとっては、不当に低い価格で売却されてしまうと、それだけ売却後の支払
いが重荷になるわけです。
こういった場合、連帯保証人から「そもそもこの不動産は価値があるから保証をしたのに、こん
な安い値段で売るなんて納得できないから、本来の値段と今回の低い値段の差額分については保
証しない」と言われる可能性があります。
こういった保証人のクレームが法的に認められる場合もあるので、任意売却の価格は妥当である
必要があります。

6、税金滞納等で物件が差押さえられていない事。
固定資産税など税の滞納等で物件が差押えられていないことが任意売却するための条件です。
税金を滞納すると自治体は滞納分を回収するために資産の差押えを行う場合があります。物件が
差押えられると差押登記が入り売却することができなくなります。
差押えられていても滞納している税金を全納することで、差押登記を解除することができ任意売
却が可能になりますが、いずれにせよ物件が差押えられていないことが条件になります。

7、売却の時間が十分に確保されている事。
任意売却は競売が開始され開札されるまでの限られた時間で、物件の引き渡しまで行わないとい
けない場合がほとんどです。銀行等により入札期日が設定された日以降は任意売却を認めないと
いう場合もあります。
売却のための時間が十分に確保されていることも、不動産を任意売却するための必須条件です。
また任意売却をしてもいつまでも買い手が見つからない場合、競売にかけられてしまうこともあ
ります。いずれにせよ早めに相談することが大切でしょう。


8、管理費・修繕積立金・その他(駐車場専用使用権など)の滞納金が少ない事。
マンションを所有している場合、毎月の管理費や修繕積立金などが発生します。
管理費や修繕積立金などの滞納金がある状態で不動産を売却した場合、滞納金は新しい購入者にその
まま引き継がれます。また、マンションの管理組合によっては、遅延損害金の発生もし、雪だるま式
に増えていきます。基本的には、滞納金は、マンションの売却代金の中から清算を行います。しかし
、担保権者との交渉が難航した場合は、滞納金を買い手に負担してもうらことになる為、買い手から
しますと不動産購入代金の総額が増加しますので、買いづらくなります。







